九州には熊はいない。
ちょっと残念な情報ですが、本当らしいです。
らしいとしたのは、生存確認の調査をしているクマネットワークでは生存の可能性を求めていまも調査を続行しているからです。
九州に熊がいない理由は?
九州の熊は絶滅したようです。
その理由で憶測の枠が出ないのですが、第一に挙げられるのが食料となるドングリの不足です。
冬眠前の熊1頭につきどれくらいドングリが必要かと言えば、山林1平方キロぐらいは必要となるらしいのです。
1平方キロというと大体東京ディズニーランド二つ分の大きさです。
その大きさに熊が1頭です。
それくらいの面積が必要なのですね。
ただ山林があればいいというわけにはいきません。
現在は人工林の割合が多く、九州では50%が人工林です。
だとするとたとえ1平方キロの面積があっても半分はドングリの実らない木なら意味がない訳です。
同じような状況でも四国にはまだ熊は生存している!?
ところが、四国では同じように人工林が増えて50%近くまでが針葉樹になっていますが、熊は生存しているようです。
九州とどうちがうのでしょうか。
四国では残りの自然林がある地域では急峻な地形で、開発が進まなかったという理由があるようです。
残念ながら九州では、なだらかな地形のため残った自然林も伐採開発が進んでしまいました。
熊が生存した最後のデータは?
ちょっと残念なデータがあります。
1987年(昭和62年)に4歳のオスが捕獲されましたが、2010年(平成22年)のDNA分析によって、九州の個体ではなく、福井県から岐阜県に多く存在するタイプと判明しました。
人によって移入されたのか、またはもっと以前に移入したメスの子孫なのかはわかりませんが、残念ながら九州特有の個体ではなかった、ということですね。
九州で野生として生息していた熊の確認は1941年(昭和16年)にまでさかのぼることになりました。
それからも目撃情報は相次いでいますが、確かな生存確認はできていません。
熊の生存の可能性を求めて
日本クマネットワークでは生存確認の調査を行っています。
調査は3、4人が1チームとなり、11チーム構成で山の中を調べます。
足跡やフン、爪痕、食跡、熊棚などを調べます。
熊棚というのは、熊は木に登ってドングリを食べますが、隣の枝に実ったドングリを摂るのに引き寄せてそのままに枝が交差したり折れたりした跡の様子のことをいいます。
大掛かりな調査の結果は寂しい物でしたが、設置されたカメラの分析はまだ発表されていません。
まとめ
九州に熊がいなくったって他の地域にいるじゃないか、と思うのは自然保護の立場にとっては悲しい考え方です。
その地域特定の生物が存在しなくなることは、他の地域にとっても同じ脅威があるということですね。
四国にはわずかですがまだ熊は生存しています。
それも人工林の割合がすすんだり、急峻であっても開発が行われたり、あるいは自然災害によって自然林が壊滅したりすれば、生存の危機が訪れるわけです。
人間の力ではどうしようもないことがありますが、してはいけないことを止めることで絶滅への道を遅らせることはできるでしょう。