毎年夏の終わりごろから秋にかけて、熊が人間に危害を加える事故が多発します。
テレビニュースでも大々的に報道されますね。
秋が深まり、森や山中の樹木に果実が実ると、やや減少する傾向にあるそうですが、やはり人間にとって熊は脅威の対象です。
熊による被害は、人身事故のみならず、実は農業においても甚大なのです。
なにしろ相手は冬眠を前にした食欲旺盛な熊ですから、せっかく実った収穫寸前の果実を大量に奪われてしまうのです。
2017年に駆除された熊の数は?
は鳥獣保護法によって、狩猟による捕獲を除いて原則の捕獲が禁止されています。
しかし、農作物などに被害が出たり、人間に被害を及ぼす場合、学術研究上の必要性がある場合などには、都道府県県知事の許可のもとに捕獲することができます。
つまり、テレビで「熊が駆除された」というニュースが流れたら、それは何らかの法的な根拠に基づいて行なわれたものなのです。
許可を受けた捕獲には、「有害捕獲」「特定計画に基づく個体数調整(数の調整を目的とした捕獲)」「学術捕獲」の3つありますが、そのうちの「有害捕獲」がいわゆる「有害駆除」のことです。
昨年(2017年)の全国の熊の亡くなった数は、次のとおりでした。
- ヒグマ:772頭
- ツキノワグマ:3007頭
- 合計:3779頭
まとめ
たしかに人間にとって、熊は脅威です。
しかし、一方的に駆除するばかりで問題は解決するのでしょうか。
人間に被害を及ぼす熊への対応はもちろん必要ですが、人間と熊とが共存していくための努力も必要です。
もともと、熊が人里に現れるような現況を招いたのは、人間の都合。
過疎や高齢化、それに放置された農地など、人間の都合が現状を作ったことを、私たちは棚上げしてはいないでしょうか。
皆で協力して、熊を引き寄せるゴミや食べ物を放置したりしないように心がける。
ちょっとした心がけで防げる事故もあるはずです。
熊の生息地域に入らないことも大切です。
最も不幸な「駆除」を招かないためにも、人間と熊との間にはっきりと境界線を作る。
そのことが、今求められているのではないでしょうか。