世界的に見ると他の動物と比べ熊はアジアやヨーロッパの地域で神聖なものとされてきた文献などが見つかっています。
例えば、朝鮮半島には熊が女神になったという話や、アーサー王の名前の由来は熊から来ていたり、アイヌは熊を神とされてきました。
では、日本では熊はどのような存在だったのでしょうか?
日本神話に登場する熊
動物の熊は力があり人を襲うとして怖がられていますが、日本神話の中では熊はどういった位置に存在していたのでしょう?
他国同様、神聖なものだったのでしょうか?
日本の神話に登場する熊はしばしばネガティブなイメージのものが多いです。
鬼熊と呼ばれ、年をとった熊は妖怪になってしまうという伝承があります。
人前には滅多に姿を現さないけれど、人のように後ろ足で歩行し、家畜の牛馬を獲物として山へ持ち帰り食らうという言い伝えです。
江戸時代の頃に作られた話で、鬼=妖怪というわけではなく、年を重ねて大きくなった熊はパワフルなので妖怪のようにおっかないという意味合いでつけられた名前のようです。
伝承の中では、鬼熊は人間が何十人束になり百人馬力でもビクともせず、人間や小動物は掌で押しつぶされてしまうほどのスーパーパワーがあると言われています。
現代も鬼熊伝承が残っている!?
スーパーパワーの鬼熊が山中で6〜7尺ほどの大きな岩を谷底へいとも簡単にポイっと落としたことがあったという言い伝えがあります。
その岩は、大人の男性が10人掛かりでもビクともしなかったと言います。
その落とした岩が鬼熊岩と呼ばれるようになり現在でも長野県木曽の山中にあるという話です。
絵本百物語の鬼熊について
1841年に刊行された日本の昔話の中に鬼熊の話が登場します。
その中では鬼熊と戦った猟師が、大木で井桁を組んで巣穴を塞ぎ、巣穴の奥に追いやってから槍や鉄砲で捕らえたというストーリーがあります。
その皮を広げると畳6畳分の大きさもあったそうな。
まとめ
このように日本の古い伝承では熊は鬼という字がつくほどネガティブなイメージだったようです。
しかし、世界的に見るとネガティブなイメージを持つ日本は珍しいです。
世界的には熊の身体能力や頭の良さから、熊は神とされ信仰の対象とされてきた国や民族もたくさん存在します。
また、熊の力強さから北欧神話のベルセルクや狂戦士と言った戦士として扱われている伝説もあります。
そう考えると、日本の熊に対する神話のイメージは少し寂しい気がします。